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漆黒の華 黒椿 [花物語]

Camellia japonica 'Night Rider'

「そはかのひとか」

ああ、たぶんあの方だわ!
おののきの中にひとりぼっちの魂が
幾たびか神秘な絵の具で描き楽しんでいたのは

あの方だわ!
控えめで注意深く悩める心の扉にあらわれ
恋に私を目覚めさせ新しい情熱を燃え立たせたのは
その恋に、それは全宇宙の鼓動であり
神秘的で誇り高く心には苦悩となり歓喜となる

1847年、ひとりの女性が23歳の短い生涯を閉じました。マリー・デュプレシという高級娼婦。かつて恋人だったアレクサンドル・デュマ・フィスは、マルグリッド・ゴーティエとして、彼女をお墓の中から小説「椿姫」という棺へおさめたのでした。

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”墻靡 そうび”を語る [花物語]

「薔薇の秘儀」はアプロディテに捧げられた秘儀であり、「キプロス人は、アプロディテのバラがどういう花なのか知っている者しか愛さない」というのは、 ギリシア詞華集『花冠』に採録された12編の詩の古代ギリシア女流詩人ノッシス。その「ギリシアの愛の女神」とも「運命の女神」ともいわれるアプロディテは、「海の露」rosmarina と名づけられたローズマリー(バラ-マリア)の樹によって表されます。薔薇の特別な意は、古代の詩や神話、寓話がおしえてくれます。

-詩人セデュリウス-
茂みの栄光にして、王冠なる愛らしきバラの
自らはとげを持たねど、とげの間より咲き出でしごとくに、
イブの根より萌え出でし新しき乙女マリアは、
古き昔の最初の乙女の罪をあがなえり

-ファラド-ウディン・アタールの『鳥の議会』Parliament of the Birds
私は愛の秘密を知っている。夜を通して私は愛の呼びかけをする。……バラの花を動かし、恋人たちの心を動かすのはこの私なのだ。……バラが夏再び咲き匂うとき、私の心は開き喜びに震える。私の秘密はみんなにはわからないが、バラだけはそれを知っている。私はバラのこと以外何も考えない。ルビーのようなバラ以外のものは何も欲しくない。……サヨナキドリが愛する者と離れて、一夜たりと過ごすことができようか?

The Parliament Of Birds (Hesperus Classics - Poetry)

The Parliament Of Birds (Hesperus Classics - Poetry)

12~3世紀に、聖母マリアは、「天界の女王の宮殿」であるノートル・ダム大聖堂において、女神として崇拝され、「薔薇」、「薔薇の蕾」、「薔薇の花飾り」、「薔薇の園」、「薔薇の花輪」、「秘密の薔薇」あるいは「最も聖なる薔薇の園の女王」として呼びかけられたのです。その女神の身体はまた、自らの内部に、男性の神性の本質を内包する宇宙でもありました。詩人セデュリウスもサヨナキドリも、そう謳っているのです。

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”墻靡 そうび” 古代の山茨 [花物語]

墻靡とは薔薇のこと。

「薔薇」は古代ローマでは「ヴィーナスの花」として知られ、ヴィーナスに仕える聖娼たちのしるし。「薔薇のもとで」(sub rosa)語られる秘密は、ヴィーナスの性の秘儀にとって欠くことのできない要素で、非入信者に明かすことは許されなかったらしいとは、―友人のblog―にも記してありました。

これは、ヴィーナスと恋人アドニスとの密会の秘密が洩れないように、沈黙の神ハルポクラテスにお願いし、そのお礼に送ったのが、「バラ」の花だったと言うローマ神話があるからです。画像は古代ギリシャ時代の山茨(薔薇の原種)です。

                そりゃ、ぼくのバラの花も、なんでもなく、

                そばを通ってゆく人が見たら、

                あなたたちと同じ花だと思うかもしれない。

                だけど、あの一輪の花が、ぼくには、

                あなたたちみんなよりも、たいせつなんだ。  

                                by サン=テクジュペリ作 「星の王子さま」

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不思議な眠りの花 [花物語]

ギリシア神話から 
柘榴の実を口にしたため、恵みの女神デメテルの娘ペルセポネは、冥界の王ハデスにさらわれます。女神デメテルは眠りを忘れるほど、ベルセポネの行方を追いつづけました。あるとき、冥界を思わせるような眠りの神ピュプノスの宮殿を訪れます。それは、太陽神が一度も訪れたこともない、雲と霧に覆われ、冥界のレーテ川の水音だけが聞こえ、不思議な色で香りがない花が、一面に咲き乱れていました。眠りの神のヒュプノスは、「あなたは眠らなければ、植物達は次期に枯れていくでしょう。」と云って、小さくて不思議な花の実を渡します。それが芥子の花の実。眠りの神ピュプノスは芥子の花を摘み、液を集めては、地上に夜が来ると、これを一面に撒き散らすのです。鳥も獣も人間も全ての生き物を眠らせる・・・。眠りの神ピュプノスは、どれも同じ姿をした夢を廻り漂わせ、眠りについた人間に夢を与えているのでした。この芥子の花言葉は忘却といわれています。

この青い芥子は、Dennis Magnussonの花の画で"Blue Himalayan Poppy"です。つまりヒマラヤの青いケシなのです。世界の名花といわれる所以は、天空に咲く奇跡の花だからなのです。世界最高峰の山々が連なったヒマラヤ山脈やそれに続く、中国 雲南省、四川省、東部チベット、ミヤンマーに咲き誇る眠りの神ピュプノスの宮殿。3000m~5000mの高地にしか咲かない幻の名花とも云われ、神秘的な美しさで見る人を魅了する不思議な花です。

The Routledge Handbook of Greek Mythology
Based on H.J. Rose's Handbook of Greek Mythology

The Routledge Handbook of Greek Mythology:Based on H.J. Rose's Handbook of Greek Mythology作者: Robin Hard
出版社/メーカー: Routledge
メディア: ハードカバー
和書 ギリシャ神話集


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